ヒロメラボの山西です。
連日の真夏日、皆様も屋外での活動には十分お気を付けください。
時事ネタを投稿させて頂きます。
皆様ご存知のヒジキ。
煮物やあえ物、炊き込みご飯など和食には欠かせません!
「ひじきの主な産地は、国内では房総半島、伊勢志摩、紀伊半島、四国、九州地区です。 その他、外国からは韓国産が多く、最近では中国からも輸入されています。 現在約90%が輸入もので、国内産は僅か10%ほどです。」
ひじきの産地 | 日本ひじき協議会
しかし、商品として売られている乾燥ヒジキ以外の姿は、あまり知られていないのではないでしょうか?
生の状態では褐色で、ブドウの房のように粒々(気泡)が付いています。
生息場所は、このように波当たりの良い潮間帯の下部。
大潮の干潮時に干出するくらいの高さです。
旬は地域にもよりますが、田辺湾では12月頃から育ち始め、4~5月が収穫時期です。
収獲方法は、草刈りの要領で鎌で刈り取ります。
その際、岩に付着している根っこのような部分が再生産に重要となりますので、基部を残してやや上の方から刈り取ります。
また、成熟した藻体は卵や精子を放出して枯れていくことから、全ての藻体を刈り取らず、母藻を残すようにしています。
黒い部分が刈り残したヒジキです。
上がメス、下がオスです。
成熟すると、気泡の付け根に粒々(生殖器床)が形成されます。
メスの方が丸く、オスの方が細長いです。
メスの生殖器床と卵です。
新庄漁協では、2006年頃から減少したヒジキ藻場の造成に取り組んでいます。
1つはスポアバッグと呼ばれる、海藻類の増殖では一般的な手法です。
成熟した藻体を網袋に入れて、ヒジキを増やしたい場所に設置します。
資材は2週間後に回収します。
さらに効果を高めるために、磯磨きを行うこともあります。
上手くいくと、夏には小さな芽が出てきます。7月20日撮影
しかし、ヒジキの生息場所周辺には、藻類を餌とするウニが潜んでいます。
小さかったり、身入りが悪かったりと、食用には不適なウニです。
ヒジキの幼体はあっという間に食べられてしまいますので、スポアバッグを設置したエリアでは、新芽の出る7月に駆除を行っています。
本来なら共存している生物を駆除することの是非や、勿体無いからキャベツで育てれば良いのでは?とのご意見も頂きます。
キャベツウニ
私も無暗に殺してよいとは思っていませんし、ウニを悪者にするつもりもありません。
しかし、ウニの数が藻類に対して多すぎるという現状や、狭い隙間に隠れているため、傷付けずに集めるのが難しいこと、養殖設備や餌のコストなどの費用対効果を考えると、藻場造成の初期段階で駆除の併用は致し方ないと考えています。
回復したヒジキ群落では、駆除を行わずとも、今のところは藻場が維持されています。
このような作業も一朝一夕にはならず、組合長の話では、4~5年繰り返して収穫できるくらいの群落まで回復しているそうです。
新庄では、徐々にヒジキ藻場を増やしながら、今年は4tほど収穫しました。
大半はそのまま天日干しで市場へ出しますが、一部は婦人部の皆様が釜で炊いてから乾燥ヒジキを作ります。
来年は炊き方を教わって、自分でもヒジキ製品を作ってみたいですね。
今日も午後からウニ駆除へ行ってきます!